「御社のKPIは妥当でしょうか?」(下)
~データ分析による、営業マン活動KPIの見直し実施事例~
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こんにちは。
ソフトブレーンチャイナ事務局です。
※本メールは弊社社員が名刺を頂いた方を対象に配信させて頂いております。
弊社でもデータを活用した改善の取り組みを実施しております。
データが全てではないですし、人間の持っているパーソナリティなどの要素ももちろん重要です。
ですが、営業活動の中で「いかに受注にいたる確率を上げられるか」という事を考えずには、良い結果を継続的に出していく事は難しいのではないでしょうか。
そうした確率や傾向を導いていくには、データの存在が必要になります。
今回は、弊社総経理の唐より「データ分析」についてのレポートの「2回目」を配信させて頂きます。
少々長文になりますが、今までの経験などもふまえた内容になっておりますので、ご興味ございましたらどうぞ!
今回の内容が皆様にとって何かしらの参考になるようでしたら幸いです。
【レポート(下)】
データ分析で、営業マンの活動KPIをやり直す事例-
A社事例
1回目は、データ分析に必要となる基礎能力と分析の流れについてレポートしました。
今回は具体的な分析事例を簡単に説明します。約半年をかけて行ったプロジェクトを文書にすると、とても長くなる為ここではその一部をレポートとして記載します。
【事例説明】
A社:機械の製造販売を行っている企業
営業管理を強化するため、5年前から本社主導でグローバル展開を目的に某欧米系のSFA(=Sales Force Automation営業管理)システムを導入し、顧客管理、案件管理、営業活動報告管理を行っていた。
2010年から、毎年二桁の成長率を続けていた製品の営業部門だが、2014年の中期実績は13年の同期と比べ、成長せず未達に終わった。
つまり、もともとの成長目標に比べ、実績がかなりズレていることが分かった。
そこから、営業体制、営業評価、営業管理のシステムなどを再考することになった。
検討するにあたり、これまで使用していたSFAシステムに蓄積したデータを活用し、データ分析する事で何か原因や傾向が分かるのではという事になったこうした背景の中で、我々ソフトブレーンチャイナが初めて自社システム以外のデータを利用して、データ分析の業務を受けることになった。
【データ分析の背景&目的】
本来、SFAシステムを導入する目的として、データ入力だけではなくデータの活用も重要です。つまり、蓄積したデータを分析することによって
①営業戦略/方針の作成、
②営業マンの評価、
③ターゲット顧客分析、売れる商品の分析、売れる営業マンの活動パターン分析、
などと言ったマネジメントの意思決定に役立つ情報が提供できる事も重要な目的になります。
しかし、現実はデータのインプットだけで、なかなかデータの活用はありません。活用(チェック)がないから、
a)必要な情報が入ってない
b)情報の信憑性がない
c)そもそもデータのどこに問題あるか、どれが正しいか、
そういった事が分からない状態になってしまいます。
【問題意識】
営業の実績として、2014年は2013年と比べ落ちているが、その理由は何でしょうか、そして営業のプロセスに何か問題があったのでしょうか?
具体的に、
① 営業実績について
・成約率が落ちているが、落ちた理由は何なのか?
・商談単価が上がったが、上がった理由は何なのか?
・営業プロセスのどこに問題が発生したか?
② ターゲット顧客について
・ターゲット顧客はどのような会社で、その属性は何なのか?
③ 営業活動について
・どのような営業活動は重要なのか?営業活動評価のKPIは何なのか?
・営業のベストプラクティスはあるのか?
【フレームワーク】
BtoB型営業に関する研究文献、我々今まで多数企業に提案した改善提案、と当該企業に対するヒアリングに基づき、下記のような分析のためのフレームワークを構築しました。構成要素として下記の四つになります、
①結果=営業実績(決着金額、受注金額、受注件数)、
②間接結果=営業プロセス(案件数、案件規模、受注率)、
③原因1=ターゲッティング(顧客ランク、顧客業界、顧客規模、応用領域、資本来源)、
④原因2=営業活動(営業活動量、営業活動質)
【全体仮説】
フレームワークにある矢印線と「+」で因果関係を示しているように、
1.直接関係
1.1 良い営業原因(営業活動、ターゲッティング)がよい営業結果(営業実績)に結びつく(=正の相関関係)
1.2 良い営業原因が良い営業プロセスに結びつく(=正の相関関係)
1.3 良い営業プロセスが良い営業結果に結びつく(=正の相関関係)
2.間接関係
2.1 営業活動がターゲッティング要素を通して、営業実績に影響を与える(正の相関関係)
2.2 営業活動がターゲッティング要素を通して、営業プロセスに影響を与える(正の相関関係)
分析結果
※冒頭で説明したように、半年をかけて行ったプロジェクトの結果をすべて文書にすると、とても長くなるためここでは「営業活動」と「営業実績」の部分のみ説明します。
※そして、分析作業も長くなる為、カットさせて頂きます。
今回の分析は、営業マンを対象にし、営業活動(活動量と活動質)という原因変数と売上実績(決着金額、受注金額、受注件数)という結果変数との相関関係を見ました。仮設に対して、SFAに蓄積されたデータを利用して、検証を行いました。
データ分析から、下記のような興味深い結果(解釈)をまとめることができました。
1.2:6:2の法則
営業マンの特徴をグルーピングした結果、2:6:2法則が現れた。
つまり、分析対象となる約30名の営業マンは、2割(4-5名)の「スーパー営業マン型」、6割(15-18名)の「中堅型」、2割(3-4名)の「ダメ型(新人型)」に分けることができました。
・スーパー営業マン型
このゾーンに入ってる4-5名社員は、活動の量、活動の質と実績の間、統計上で有意義な相関関係が現れませんでした。
つまり、活動の量が多くないのに、実績はよいか、もしくは、活動報告はあんまりないのに、実績はよいという特徴です。
結果の解釈
この4-5の営業マンはベテラン営業マン(1名は在籍8年間、1名5年間、2名は転職)で、長期的な代理店や、エンドユーザーを持っており、どの顧客をアプローチすべきか、どのような案件にどのようなタイミングで誰にフォローすればいいか、に対し正しいアクションをしています。
そして、実際の営業活動はしてますが、報告は結果のある案件だけ上げています。
・中堅型
このゾーンに入ってる18名前後の営業マンが、活動の量も活動の質も実績とは、統計上で有意義で、強い相関関係が現れました。
つまり、重要活動の量が多ければ多いほど、実績が良い、また、活動の質が高ければ高いほど、実績が良いという傾向が現れました。
結果の解釈
この18名の人は、入社3-5年の営業マンで、そのうち1-2名はマネジャー候補です。ちゃんと会社のルールを守って、営業活動と営業報告を行っている営業マン達です。マネジメントの対象です。
・ダメ型
このゾーンに入ってる3-4名の営業マンは2名が新人で、2名が在籍2年間前後です。
新人の場合、活動量が多いけど、実績は良くないし、活動の質はあまり良くありません。在籍2年の2名は活動も少なく、実績もあまり良くありません。
分析結果の活用
以上の分析結果で、営業マンの所属グループによって、評価の指標と評価方法を分ける必要があるのではないかと思われます。
2.活動KPIは?
・たくさんの活動をすればするほど、良い実績結果に結びつくのか?
答えは、ノー!でした。
この会社のもともとのKPIは「訪問数」でしたが、データ分析の結果、全体訪問数と実績の間に相関関係が現れなかった。
「見積」件数、「提案」件数は実績と強い相関関係があるため、KPIは訪問数だけではなく、見積提出訪問数、提案訪問数もKPIに入れる必要あるでしょう。
・「デモ機貸し出し」は慎重に
案件のニーズがあれば、デモ機貸し出しを行うと「样机测试」をKPIとして、設定していたが、データ分析の結果として、実績との間に統計上の相関関係はありませんでした。
そして、予想外の発見として、「样机测试」は「決着金額」との間に弱いマイナスの関係が現れました。
どうして重要活動なのに活動すればするほど、結果が悪いかと納得できない分析結果でした。
Mgr. やベテラン社員にヒアリングし、ディスカッションした結果、案件の規模、顧客の本来のニーズを正しく把握しないまま、デモ機貸し出しをすると、逆に失注する可能性はあると言う解釈が納得です。そしてデモ機貸し出し後のフォロー訪問も重要でありKPIとして設定する必要があると考えられました。
3.活動の質も大事
本来、訪問の質は定性的なもので、その効果を測ることはとても難しいです。今回の分析は、営業活動の質を定量的に定義し訪問の質と成果との関係を測定する事ができました。
活動報告の中、たくさんの項目を設定されています。必須項目ではないため、入力している営業マンもいれば、全く空欄で報告を上げている営業マンもいます。
入力している営業マンと入力していない営業マンの実績の差はあるのでしょうか?
どの項目が営業実績と相関関係があるのでしょうか?
・分析結果、
1.案件管理意識(=受注確度、作戦タイプ、受注見込み日)は受注金額との間に、強い相関関係が現れました。
2.活動の計画性(次回の訪問日程、訪問内容)は受注金額、受注件数との間に、強い相関関係が現れました。
・分析結果の活用
訪問するときに、どんなアクションが重要ですか?
いわゆる「BANTCC」と「ネクストアクション」がとても重要です。
BANTCC:
・Budget(予算)
・Authority(決裁者)
・Needs(ニーズ)
・Timing(受注見込み日)
・Competition(競合状況)
・Company(自社のチャンス分析)
ネクストアクション:
PDCAを回すための重要ポイントで、訪問結果のまとめとして「次回はいつ、何をするか」がある訪問とそうでない訪問には良い結果を出す為の大きな差が存在するのです。
以上、データ分析の事例について、全部ではございませんでしたが、記載できる範囲でご案内させて頂きました。
情報のインプットがあって、はじめてデータが溜まります。
ただ、データを溜める事は目的ではなく、改善の為の手段です。
データが全てではないにしろ、改善の為の有効な手段の一つという参考になったようでしたら幸いです。
【レポート(下)終わり】
最後までお読みいただきありがとうございました。
どうぞ宜しくお願い致します。
ソフトブレーンチャイナ
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TEL:186-2106-9110
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